家計研究論文

会計調査/国内化学メーカー/費用

はじめに

国内化学メーカーの2023年度売上ランキングに続き、各社の費用を比較するために「原価率」と「販管費率」を一覧表にまとめました。

→[売上ランキングはこちら]

会社の利益は、次の式で表されます:利益=売上-費用

そのため、利益を拡大するには、売上を増やすか費用(コスト)を削減する必要があります。

売上を増やすためには、販売量の増加や販売単価の向上が求められます。

一方で、費用削減についても具体的な方法を検討しました。

「決算短信」に記載されている『売上原価』と『販売費及び一般管理費(以下、販管費)』を基に、「原価率」および「販管費率」を算出しました。

原価率の低い会社

付加価値の向上: 製品やサービスに付加価値を付け、販売単価を引き上げることで、売上だけでなく売上総利益も改善できます。

製造原価の削減: 安価な原料の調達や、大規模かつ効率的な大量生産を行うことで、製造原価を抑えることが可能です。

原価率の低い会社は、以下の特徴を持つことが考えられます:

  • 安価な原料が手に入る立地に工場を構えている。
  • 大規模な大量生産を活用し、効率的な販売体制を構築している。
  • 他社にはない技術力を用いて製品に付加価値を加えている。
国内化学メーカーの2023年度 原価率が低いランキング
略号 売上(百万円)
【x】
売上原価(百万円)
【y】
原価率
【y】÷【x】
B 2,960,916 1,774,656 59.9%
I* 1,442,574 866,449 60.1%
F 2,414,937 1,503,728 62.3%
H* 1,532,579 972,152 63.4%
K 1,256,538 864,343 68.8%
C 2,784,878 1,968,909 70.7%
A 4,387,218 3,240,394 73.9%
L 1,005,640 779,414 77.5%
G 1,749,743 1,378,946 78.8%
E 2,446,893 1,947,198 79.6%
J* 1,288,869 1,042,252 80.9%
D 2,464,596 2,021,073 82.0%
*は12月期決算

販管費率の低い会社の特徴

・余剰人員がなく、人件費が多く発生していない

・宣伝広告を多量に投入していない

F社の販管費は8.7%と、他社と比べて極めて低い水準にあります。この要因として、以下の点が挙げられます。

  1. 少数精鋭の従業員体制(採用人数が極めて少なく、例えば営業の顧客交渉を1名で担当するなど)
  2. 一般消費者向けではなく、メーカー向けの販売に特化しているため、宣伝広告費を抑えられること
国内化学メーカーの2023年度 販管費率が低いランキング
略号 売上(百万円)
【x】
販管費(百万円)
【y】
販管費率
【y】÷【x】
F 2,414,937 210,171 8.7%
D 2,464,596 346,344 14.1%
L 1,005,640 146,379 14.6%
G 1,749,743 282,657 16.2%
J* 1,288,869 250,380 19.4%
A 4,387,218 932,345 21.3%
K 1,256,538 297,795 23.7%
C 2,784,878 675,223 24.2%
B 2,960,916 752,427 25.4%
I* 1,442,574 420,247 29.1%
H* 1,532,579 466,770 30.5%
E 2,446,893 887,124 36.3%
*は12月期決算

用語解説

用語 意味
売上原価 商品やサービスの販売に直接かかった費用。

小売業では、仕入に必要とした費用、製造業では製品の製造原価。

売上総利益(粗利) 会社が1年でどれくらい利益を出したかを表すもの。

(売上総利益)=(売上高)-(売上原価)

原価率(%) (原価率)=(原価)÷(売上高)×100
販管費 「販売費及び一般管理費」の略称。

商品を販売するための活動や企業全体の管理活動にかかる費用で、

給与や研究開発費、広告宣伝費など様々なものが含まれる。

販管費率(%) (販管費率)=(販管費)÷(売上高)×100
営業利益 (営業利益)=(売上高)-(売上原価)-(販管費)
営業利益率(%) (営業利益率)=(営業利益)÷(売上高)×100

次回

第2弾として、国内化学メーカー12社(A社~L社)の費用について比較しました。次回は各社の「利益」について調べて、どの会社が儲かっているのかを確認する予定です。

以上

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