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F社の財務分析~高収益企業の秘密を探る~
はじめに
今回は、国内化学メーカーの雄、F社の財務状況を深堀りしていきます。
同社は、高い収益性と安定した財務基盤で知られていますが、その秘密はどこにあるのでしょうか?
F社の収益性:その強さの秘密
F社は、塩ビやシリコンウエハーなど、様々な分野で高いシェアを誇る化学メーカーです。
その高い収益性には、以下のような要因が考えられます。
- 低原価経営と高付加価値製品の両立: 原材料費を抑えつつ、高品質な製品を提供することで、高い利益率を実現しています。
- 海外市場の開拓: 特に、建材需要の高い米国や中国市場で積極的に事業を展開しています。
- 積極的な設備投資: 最新の設備を導入することで、生産効率を向上させ、競争力を強化しています。
F社の財務状況:盤石な財務基盤
F社は、高い収益性だけでなく、財務状況も極めて安定しています。
- 自己資本比率の高さ: 80%を超える自己資本比率は、同社の財務体質が非常に健全であることを示しています。
- 実質無借金経営: 借入金がほとんどないため、安定的な経営が可能です。
- 巨額の現金保有: 1兆円を超える現金と有価証券を保有しており、将来の事業投資や株主還元などに充てることができます。
以下バランスシートからも、純資産が4兆4,240億円と大きく自己資本比率が高いことがわかります。
F社の成長性:高い成長率を維持
F社は、過去10年間で売上高や営業利益が大幅に増加しており、高い成長性を示しています。
その要因としては、多角化された事業構造、収益性の高さ、そして積極的な投資などが挙げられます。
以下の財務主要指標から、
・ROEが安定して10%超えています
・PBRが1倍を下回ることがありませんでした
・2024年3月期に同社の時価総額は13兆1,420億円であり、市場価値も非常に高いです
F社の財務主要指標
2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | |
売上高営業利益率(%) | 25.3 | 26.3 | 26.2 | 32.6 | 35.5 | 29.0 |
売上高当期純利益率(%) | 19.4 | 20.3 | 19.6 | 24.1 | 25.2 | 21.5 |
投下資本利益率(ROIC)(%) | 21.5 | 19.4 | 17.2 | 27.2 | 33.6 | 19.4 |
自己資本当期純利益率(ROE)(%) | 12.8 | 12.3 | 10.7 | 16.3 | 19.7 | 12.8 |
総資産経常利益率(ROA)(%) | 14.0 | 13.3 | 12.3 | 18.7 | 23.2 | 15.9 |
自己資本比率(%) | 81.1 | 82.1 | 83.2 | 82.1 | 81.8 | 82.7 |
株価総資産倍率(PBR)(倍) | 1.6 | 1.7 | 2.7 | 2.3 | 2.2 | 3.0 |
株価収益率(PER)(倍) | 12.8 | 14.2 | 26.3 | 15.6 | 12.3 | 25.3 |
従業員数(人) | 21,735 | 22,783 | 24,069 | 24,954 | 25,717 | 26,004 |
発行済株式総数(千株) | 427,606 | 416,662 | 416,662 | 416,662 | 404,824 | 2,001,691 |
時価総額(億円)IRBANK | 38,679 | 44,621 | 77,333 | 78,062 | 86,250 | 131,420 |
まとめ
F社は、高い収益性、安定した財務基盤、そして高い成長性を兼ね備えた、まさに優良企業と言えるでしょう。
今後も、同社のさらなる成長が期待されます。
次回の記事では、F社と同様に高い収益性を誇る、別の化学メーカーB社の財務状況を分析していきます。
以上