会計

【会計調査レポート】国内化学メーカーの利益を徹底分析|当期純利益・法人税・配当・内部留保まで

こんにちは。
「ツキを呼ぶサラリーマン家計研究室」運営者の運雄新記(うんゆうしんき)です。

これまで第1弾「売上分析」、第2弾「費用分析」に続き、今回は**「利益」に焦点を当てた会計調査レポート第3弾**です。

日本の化学メーカーは、私たちの生活を支える重要な産業の一つ。
では、彼らはどれほどの利益を上げ、その利益をどのように社会に還元しているのか?
2023年度の決算データを基に、**当期純利益・法人税・配当金・利益剰余金(内部留保)**を多角的に比較しました。

💰 当期純利益ランキング(2023年度)

まずは、国内主要化学メーカー12社の**当期純利益(2024年3月期決算)**をランキング形式で見てみましょう。

略号 売上(百万円) 営業利益(百万円) 当期純利益(百万円)
F 2,414,937 701,038 565,160
B 2,960,916 276,725 243,297
A 4,387,218 261,831 178,439
I* 1,442,574 168,745 118,997
K 1,256,538 94,399 79,054
L 1,005,640 79,845 66,695
G 1,749,743 74,124 53,775
C 2,784,878 140,746 46,328
H* 1,532,579 60,035 46,157
D 2,464,596 57,651 30,455
J* 1,288,869 -3,764 -18,026
E 2,446,893 -488,826 -465,449

*印:12月期決算

🔍 解説:F社が圧倒的トップ、1,000億円超の純利益は4社

  • F社がトップで、純利益5,651億円と他社を圧倒。

  • 続くB社・A社・I社も1,000億円を超える好業績。

  • E社は大幅赤字を計上しており、業界内で明暗が分かれる結果となりました。

🏛 法人税から見る「社会への還元力」

企業が得た利益の一部は、法人税として国や地域に還元されます。
しかし、税額は単純に利益に比例するわけではなく、減価償却・繰延税金資産・特別控除などの要素が影響します。

略号 売上(百万円) 営業利益(百万円) 当期純利益(百万円) 法人税支払額(百万円)
F 2,414,937 701,038 565,160 230,513
B 2,960,916 276,725 243,297 78,102
A 4,387,218 261,831 178,439 62,108
I* 1,442,574 168,745 118,997 42,502
K 1,256,538 94,399 79,054 32,424
D 2,464,596 57,651 30,455 29,112
L 1,005,640 79,845 66,695 27,025
G 1,749,743 74,124 53,775 19,556
H* 1,532,579 60,035 46,157 17,685
E 2,446,893 -488,826 -465,449 2,657
J* 1,288,869 -3,764 -18,026 -8,159
C 2,784,878 140,746 46,328 -17,484

*印:12月期決算

💬 考察:社会貢献は「税金」だけでは測れない

企業の社会的価値は、単に納税額の多寡だけでは評価できません。

  • 従業員への待遇改善

  • 環境への配慮

  • 地域社会への貢献

  • 情報開示の透明性

これらを含めた“持続可能な企業経営”が、真の社会貢献といえるでしょう。

💹 配当金総額ランキング:株主への還元姿勢

企業が得た利益の一部は、株主へ配当金として還元されます。

略号 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) 配当金総額(百万円) 配当性向(%)
F 520,140 200,079 38.5
H* 43,870 69,872 158.9
B 243,509 60,202 24.7
C 43,806 49,962 113.9
A 119,596 45,585 38.1
I* 118,476 32,880 27.8
K 77,930 31,407 40.3
D 21,897 28,844 131.7
L 57,324 27,068 47.2
G 49,999 26,619 53.2
E -311,838 14,724
J* -18,955 11,788

*印:12月期決算

💬 配当性向の見方

配当性向(%)= 配当金総額 ÷ 当期純利益 × 100

  • F社は安定的な配当性向38.5%で堅実経営。

  • 一方でH社やC社の100%超えは、特別配当や前期繰越金による要因が考えられます。

  • 配当が多いからといって必ずしも良い企業とは限らず、持続性と成長性の両面から判断する必要があります。

🏦 利益剰余金ランキング:企業の“貯金力”

利益剰余金(内部留保)は、過去の利益の蓄積。
新規投資や不測の事態に備える企業の“体力”を示します。

略号 売上(百万円) 利益剰余金(百万円)
F 2,414,937 3,520,355
B 2,960,916 2,741,416
A 4,387,218 1,355,131
C 2,784,878 1,135,533
D 2,464,596 1,068,364
H* 1,532,579 711,802
L 1,005,640 654,832
G 1,749,743 617,400
E 2,446,893 578,175
K 1,256,538 501,945
I* 1,442,574 351,205
J* 1,288,869 137,269

*印:12月期決算

💬 解説:F社が3兆5,203億円で首位

利益剰余金1兆円超の企業は5社。
中でもF社は圧倒的な内部留保を誇り、安定した財務基盤と高い再投資余力を持っています。
これは将来的な研究開発・設備投資の原資にもなり、企業の成長力を支える重要な指標です。

📘 まとめと次回予告

今回の「利益分析」では、**収益力(当期純利益)・納税(法人税)・株主還元(配当)・財務安定性(利益剰余金)**の4つの観点から、化学メーカーの実力を可視化しました。

📊 次回(第4弾)テーマ:自己資本比率の徹底比較

各社の「財務安全性」を測る自己資本比率を分析し、倒産リスク・資本構造の違いを明らかにします!

🖋️ 運雄新記よりひとこと

私は26年にわたり化学業界で数字と向き合ってきました。
「利益の裏には、会社の哲学がある」──
数字を通じて、企業の姿勢や価値観が見えてきます。

このシリーズを通して、読者の皆さんにも“数字の面白さ”を感じてもらえたら嬉しいです。

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